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再生医療事業

REGENERATIVE MEDICINE

再生医療:幹細胞・培養上清液について

Cell regeneration and wound treatment

1.細胞の再生と創傷治癒

指先を怪我して出血した時、皮膚は細胞を増殖させて、傷口を修復します。
図(1)のように出血している時は皮下の血管を傷つけ、皮膚の傷口から血液が外部に漏れます。最初、傷ついた血管内部には血小板などの成分が集まり、止血します。その後、出血部位の血管の細胞が増殖し、血管を塞ぎます(2)。さらに皮膚の傷口の細胞も増殖を始め、傷口を小さくしていきます。怪我をしてから1週間ほどすると、血管の壁と皮膚表面の傷口は新しい細胞でおおわれて、怪我をする前の状態に回復します(3)。この過程を創傷治癒と呼びます。

この創傷治癒で、傷の入った血管や皮膚の細胞は分裂して増殖します。傷ついた血管には血管の細胞が増殖し、皮膚の傷には皮膚の細胞が増殖して創傷治癒となります。ただし、血管の細胞社皮膚の細胞が、まったく異なる爪や毛髪になることはありません。皮膚や血管の細胞は増殖する時に目標の細胞が決まっています。このような細胞を終末分化細胞と呼ぶことがあります。成人の身体の細胞は、基本的に終末分化細胞から成り立っています。

2. 終末分化細胞と幹細胞細胞

終末分化細胞において怪我をし、傷ができると、傷の周辺と同じ細胞が増殖します。自己複製能力を持つためと考えると、終末分化した氏あぼうの周辺に自己複製能力を持つ幹細胞が存在する可能性があります。研究報告によると、皮膚には皮膚の幹細胞(真皮幹細胞)、血管には血管の幹細胞(血管内皮幹細胞)が存在し、細胞分裂を行って傷を治していることが分かっています。終末分化細胞に対して、幹細胞は自己複製能力を持ち、さらに他の様々な細胞に分化(異なる機能に変化)する能力(多能性)を持っている特殊な細胞と説明されています。

ただし、皮膚を傷つけた時、傷口が治る過程で皮膚の幹細胞や血管の幹細胞が関係している可能性がありますが、皮膚や血管が他の細胞に変化できる多様性を持つ幹細胞ではありません。これらの幹細胞は体性幹細胞と呼ばれています。 日本でノーベル賞を授与された山中教授らが作ったiPS細胞は、皮膚の終末分化細胞(繊維芽細胞)に遺伝子処理を行って多様性を持つようにさせた幹細胞です。この意味で、iPSは終末分化細胞から再生され、多能性幹細胞になっています。

また人工的に作製された多能性幹細胞がiPS細胞であるとすると、自然に精子と卵子の受精によって生まれる受精卵も多能性幹細胞になり、ES細胞とよばれています。

3. 体性幹細胞のひとつ、脂肪幹細胞

体性幹細胞からの分化については、まだ研究中のものが多く、臓器を再生させる研究が世界中で行われています。例えば、脂肪幹細胞から膵臓のインスリン分泌細胞であるランゲルハンス島のベータ細胞を作製する研究が行われています。これらの研究では、体性幹細胞の中で眠っている遺伝子を目覚めさせて、インスリンを分泌するベータ細胞などを体外で作製して、体内に戻すことを計画しています。しかし、まだ研究途中のため、現時点では脂肪幹細胞の培養によって得られる培養上清と培養細胞を用いた臨床的治療が行われています。

上図は大学病院内で行われる脂肪幹細胞培養の流れを示しています。ヒトの腹部から脂肪細胞を吸引して採取し、遠心分離によって脂肪幹細胞を分取します。分取された脂肪幹細胞は独自に調合された培地上で培養されます。脂肪幹細胞は培養されて細胞増殖を行う過程で、種々のタンパク質を上清中に分泌します。3〜4週間の培養期間を経て、脂肪幹細胞の培養細胞は増加し、同時に培養上清が得られます。培養上清中には下図のようなタンパク質成分(成長因子など)が含まれると報告されています。

4. 脂肪幹細胞培養上清による糖尿病治療

脂肪幹細胞培養によって、培養細胞と培養上清が得られ、それぞれを用居て糖尿病治療を行いました。下記に培養上清による治療結果を示します。

図は、糖尿病患者(上図)と健常者(下図)の脂肪幹細胞培養上清投与による血糖値の変化(点滴前後)を示しています。青色棒が点滴前、橙色棒が点滴後の血糖値(mg/dl)を示します。上図、下図ともに上清点滴により、血糖値の減少が認められます。グラフ最右側に、各者の血糖値の平均を示しています。糖尿病患者の点滴前の平均血糖値は、健常者より70前後増加しています。上清点滴による血糖値変化では、両者ともに点滴前後で30程度の減少となり、上清が糖尿病患者と健常者へ類似の作用をしています。

次に、脂肪幹細胞上清によって血糖値が変化する背景にある状態を把握するため、インスリン値を測定しました。下図の、糖尿病患者(上図)と健常者(下図)の脂肪幹細胞培養上清投与によるインスリン値(μU/ml)の変化(点滴前後)を示しています。青色棒が点滴前、橙色棒が点滴後のインスリン値です。上図、下図ともに上清点滴により、インスリン値の増加が認められます。グラフ最右側に各者のインスリン値の平均値を示しています。糖尿病患者の点滴前の平均インスリン値は、健常者より18程度増加しています。上清点滴によるインスリン値変化は、糖尿病患者で25程度少なくなっています。

以上の結果から、脂肪幹細胞上清により糖代謝が改善する可能性があります。

※脂肪幹細胞培養施設AD.Stem CellとC&C銀座クリニックは共同研究で脂肪幹細胞上清点滴による血液検査結果のプログラム解析を行い、クライエントの糖代謝状態を評価するシステムを構築しました。AD.Stem Cellの培養上清を利用する時に得られる血液検査を、その都度、プログラム解析して、点滴効果を確認できるような血液検査解析報告書を行います。(特許出願中)